皆様、おこんにちわ。
いや・・・2月ですね。だんだんとベルリンの雪がとけ、去年捨てられたゴミが解凍されつつあります。
道に、ぶにょぶにょになって落ちているゴミをみると、ああ・・・春ですね・・・と感じます。
そんなこんなで、2月、お元気様でしょうか。

さて、今回は知ったかクラッシックVol・2です。
本日ご紹介するのは、日本大すき、うどん大すきの台湾出身、呉・天泰(う・てんたい)さんです。

2年半前に、台湾の音楽大学ピアノ科を卒業し、単身ベルリンへと渡航。
現在はリューベック音楽大学の研究科に在籍する傍ら、今年から精力的にコンサート活動を開始しています。

見た目はヒョロッこいお兄さんですが、実際の演奏は『鬼火』とプロフェッサーから評価されるほど攻撃的。
人間って、わかんないもんですね~。

実際にお話を聞いてみました。

みのし「お決まりの質問ですが、あなたにとってピアノって何ですか?」

呉氏「え?ピアノ?楽器ですよ。日本の人だったら、あ~ピアノは僕の人生ですって答えるんだけど、僕にとっては楽器。でもね、しいて僕とピアノの関係を言うなら、僕は奴隷。それでピアノが王様かな?」

みのし「その心は?」

呉氏「ぼく、二歳くらいのころから多分ピアノを弾いてきたんです。そのころは一日三時間くらい弾けばいいんですよ。でもね、歳をとるにしたがって、ピアノが僕に要求するものがどんどん増えてくるわけ。友達と遊びに行っちゃだめ!とかテレビ見ちゃダメ!とか。もちろんそれは僕だけじゃないし、台湾の両親にもそれはあって、実際彼らが僕のピアノに払ったお金って、すごい額だと思いますよ。で、ピアノの要求はどんどんエスカレート。だから僕、中学卒業してすぐに大学に入学してるんですよ。中学校のころも、まぁ、ろくに学校なんて行かなかったけど。僕、ろくに足し算引き算できないし。」

「若い頃は気がつかないんですよね、そういう、僕がスルーしてきたものがどれだけ大切だったかって事。友達と喧嘩したり、屋台で買い食いしたり、一般教育をうけたり、僕は情緒教育や一般教育を全部スルーしてしまって、ま、それは僕がピアノの奴隷だからなんだけど・・・だから、僕がドイツに来たとき、びっくりするほど何も出来ない人でしたよ。ま、今もですけど(笑)」

みのし「ピアノ以外に得意なことはありますか?」

呉氏「それが本当になくって。ろくにお茶碗も洗えないし、買い物も出来ないし・・でも今は練習中です。遅めの思春期ですね。直接じゃないけど、僕をしかってくれる人がいて、初めわかんなかったんですよ、なんでコノ人おこってるんだろうって。
でも、最近わかり始めたかな?例えば、ご飯食べ終わったら、食器台所まではこぶとかね。そうすると、相手は怒らないの。なんでかな?っておもって、きいてみたら、水に浸しておくと、よく汚れがおちるとか・・・あ~なるほど!って。目からうろこ。これがいわゆるお手伝いか~って。僕、感動しちゃった。」

みのし「う~ん、そんなに生活が大変なら、じゃあピアノやめちゃえば?って素人は思うと思うんですが。それか、ピアノと生活のバランスをとるとか。」

呉氏「それがね、できないのがピアノって楽器の特徴なの(笑)僕の年齢、つまり三十歳前後の人間は、一日八時間以上弾かなきゃダメなの。それで、へとへとに疲れるし、だから、実質的にはメイドさん的な人、やとえるなら絶対雇ったほうがいいって僕思うの。一日弾かないと、取り戻すのに三日はぜったいかかるし、」

みのし「すごいですね。現役受験生みたい。」

呉氏「もっとすごいよ。だって、世界にはピアニストなんて本当は、十人いればいいのよ。でも、実際は倍率すごいじゃない。成功するピアニストなんて、一万人に一人くらいじゃないかな?ね、すごいよね。だから、僕、自分でも思うんだけど、プロピアニストになりたい人とか、頭ちょっとおかしいんじゃないかな?って思うよ(笑)」

みのし「そういう意味での奴隷なんですね。」

呉氏「そう。だから僕はピアノの奴隷。ピアノがいないと、僕の存在理由や、やること、思いつかないもん。いまさら中学校にもどって、一からやり直すのは無理でしょう?もうね、僕、取り返しのつかないことしてるの。ぼくは、ただただ、ご主人さまであるピアノに、一生尽くすのみ。ご主人様が、おい、天泰、一日十時間弾け!それくらい練習しないと、ここのフレーズは弾けないぞ!って言ったら、僕には選択権がないの。僕はただ弾くだけなの。ご主人様が満足するまでね。
音楽は、僕の友達、自己表現って言う人は信じられない。
そんな甘いものじゃないよ。99パーセントの苦痛と、1パーセントの快楽、それが音楽だよ。聴いてるほうは楽しいだろうけど。はは、変なの。
それにさ、1日3時間くらいだったら、みんな練習できるじゃん。中国雑技団なんか見てて感動するのはさ、絶対に僕達にはまねできないからじゃん。おお~人間ってスゴイ~って思えるような技じゃないと僕達は感動しないの。だから僕、ピアノの奴隷になって、1日中、アホみたいにピアノを弾くの。誰にでも出来るのは、趣味。僕はプロ。なかなか人には出来ないことをするの。だって、プロだからね」

呉さん、今後はドイツを中心に活動する予定。
一ヶ月に四つのコンサートをこなすハードスケジュール。
お時間おありの皆様、お暇でしたら一度お足を運んでみてはいかがでしょうか?

ちなみに、最近の呉さんはココアにはまっているそうです。

それではみなさん、また来月。
アディオス!←かっこいい挨拶