ベルリンの街はクリスマス一色ですが、キリスト教以外の人たちはどうしているのか、ちょっと気になりませんか?この時期、友達によく「日本にもクリスマスってあるの?」と聞かれます。「仏教・神道とは全く関係ないけど、経済効果狙ってクリスマスは導入されてるねぇ」と答えつつ(クリスマスが全く浸透していない国があれば見てみたいわ)といつも思っていたのです。
調べたところ、独自の慣習を守ろうとしている宗教がありました。その名も・・・ユダヤ教。
ちょうどクリスマスと重なるようにして「光の祭・ハヌカ」というお祭があります。よく「ユダヤ人のクリスマス」と言われますが、これは間違い。キリスト誕生とは関係ありません。
興味をそそられたので、ベルリンのユダヤ博物館中庭で開催されている「ハヌカ・マーケット」に行って来ました。
ハヌカはユダヤ教のお祭の中ではマイナーなお祭なんだそう。ユダヤ暦の9月に8日間(今年は12月15日から)お祝いされるのですが、それが一般の暦でいうところの12月クリスマスシーズンと重なってしまうため、先の「ユダヤ人のクリスマス」という誤解が生じるようです。
お祭の起源は遡ること紀元前165年の「マカバイ戦争」勝利によるユダヤ神殿の解放・再奉納、にあるとされます。
その再奉納の清めの儀式の際に用いられるメノーラー(7枝の燭台)を灯すための一日分の聖油が8日間燃え続けたという奇跡が、ハヌカのメインである「1日1本ずつ、8日間にわたってハヌッキーヤ(8~9枝の燭台)のろうそくを灯していく」という行事につながったということです。
マーケットの方は・・・というと、何とも小規模でビックリ。マイナーなお祭、と言われるだけのことはあります。屋台の総数・・・±10!
何が売られているかというと、マスタード、自然コスメ、おもちゃ、ろうそく・・・クリスマスマーケットと変わりません。
食べ物はユダヤ?と期待していたのですが、名前は違えどこれまた一緒。グリューワインにじゃがいも版パンケーキ(Latkes:ラトケス)、ジャム入りドーナツ(Sufganiyah:スフガーニーヤー)などなど。「聖油の奇跡」にちなんで、油で揚げた料理が好まれるそうです。

「ハヌカ」という独自の伝統行事を大事にする反面、ドイツ文化に適応している象徴としてワイマール共和国時代にクリスマスを祝う習慣がドイツのユダヤ人の中で浸透したことにより、「宗教的意義のない家族のお祭」としてクリスマスが祝われてきました。クリスマス・ツリーやクリスマス・プレゼントをはじめとしてハヌカとクリスマスのミックスが行われ「Weihnukka:ヴァイヌカ(Weihnachten:クリスマス+Chanukka:ハヌカ)」という皮肉のこもったニックネームで呼ばれていました。
現在この「Weihnukka」に対してユダヤ教徒内で大きく意見が分かれています。特にこの状況はアメリカでは「December dilemma(12月のジレンマ)」と呼ばれ、キリスト教が主流の社会において、ユダヤ人はクリスマスをどのように過ごすべきなのかが議論されています。
揶揄されてもWeihnukkaを祝うのか、それとも宗教的信念を貫いてハヌカのみ祝い、クリスマスは善行を行うにとどめるのか?
宗教と社会と歴史とが複雑に絡み合った欧米社会で生活していると、何のしがらみもなくクリスマスを祝える日本人って幸せだよな~としみじみ思ったりするのでした。

ハヌカ・マーケット

12/3-12/31まで毎日12-18時。(12/24はクローズ)
ユダヤ博物館中庭:Lindenstrasse 9-14, 10969 Berlin
最寄駅:U6/U1 Hallesisches Tor, U6 Kochstr.
※「光の祭典」なので、日が暮れてから行った方がいいと思います。特に12月15日~が本来のハヌカに当たるので、15日以降に行くことをお勧めします。