もう4年くらい前になるけど、Saarbruecken(ザールブリュッケン)にいる時、日本人サッカー選手が何人かいるということで、新聞の取材がきた。
新聞には、俺たちの割と大きめなカラー写真と、「サッカー選手・微笑みの国から」というタイトルで記事が掲載されていた。
「微笑みの国から」というタイトルを見て、なめられているのか?とも少し思ったけど、なかなか鋭いところをつくとも思った。
このこと(微笑み)に関係したことをドイツ人の理学療法士の1人にも質問された。

日本人の「微笑み」を考えているうちに、新渡戸稲造の「武士道」を読んでいくつかなるほどと思ったことがあった。

「武士道」出版の直接のきっかけは、新渡戸氏の奥さんが外国人ということもあって、日本のことについていろいろと質問してきたことだった。
しかし、それを説明するには、封建制度や武士道をまず理解してもらわないといけない。
ということで、それらの話や答えたものを整理したものが「武士道」となった。
 
新聞の「微笑みの国」というのは、どこから来たのか?
ワールドカップ・フランス大会でラモスがキレていたけど、フォワードの城がミスをしているのに笑っていたからか?
よく微笑みを見せるからか?
 
まず、城がミスして笑っていた場合(城ばっかり言われてかわいそうだけど)。
「武士道」の中で、「武士が、感情を顔に表すのは男らしくない」、「喜怒を色に現わさず」とあったけど、そこから説明がつくと思う。
俺もあると思うけど、ミスをして笑う、苦笑いをする場合は、もちろんうれしいわけでもなく、ミスをしてあせる自分を他人に見せたくないから。
動揺する自分を隠すために笑っていると思う。
逆に、ヨーロッパ人はミスをした時、吼える、逆ギレといった場合が多い。
その意味は、気持ちの切り替え、ストレス発散、責任転嫁などいろいろあると思う。

気持ちを隠すために笑うことは、ミスした時だけではなくて、例えば、怪我をした時、痛いけど痛がっている自分や痛みに耐える自分を見せたくないから笑顔でごまかす、ということにもあてはまると思う。

でも、これが外国人に誤解される場面を見たことがある。
俺の日本人の友達だが、試合中に結構ひどく負傷したので監督に交代を申し出た。
しかし、このやせ我慢の笑顔が出ていたため、監督には「痛いのに何で笑ってんだ?」、「笑ってるくらいならまだできるだろう」と解釈されて、その後しばらくプレーしていた。

見知らぬ人にも笑顔をよく見せる場合。
理学療法士に質問されたこと。
これは、別に日本人でなくてもやると思う。
だけど、時には外国人にとっては必要以上の笑顔にうつって、その裏に何か意味があるのかと不思議、不安になるらしい。

このことは、武士道の「礼儀」から言えると思った。
礼儀は、「他人の感情を察する同情的な思いやりが外に表れたもの」、礼が要求するものは、「悲しむものとともに悲しみ、喜ぶものとともに喜ぶこと」とあった。
日本人は、初対面の相手が不安がらないように気遣って、「俺たちはフレンドリーだ」、「敵じゃない」とアピールしている部分があるとおもう。
プラス、自分自身が緊張していて、その緊張を隠すための、1つ目の笑みの意味もあるかもしれない。
でも、時として、外国人にはこれが裏目に出て、その気遣いの笑みが理解されない時もある。

笑みは、「武士道」の中では付属的なところだったけど、普段の生活でもサッカーの中でも、日本人らしい特徴のひとつだと思った。