ドイツで行われた20006年のワールドカップでは、優勝イタリア、準優勝フランス、3位ドイツ、4位ポルトガルという結果に終わりました。この上位4チームには共通する点がいくつかありました。4チームが、4バックの前にダブルボランチを置き、ドイツを除く3チームが「4-2-3-1」というフォーメーションを採用していました(ドイツは4-4-2)。世界のトップレベルでは今、「4-2-3-1」がトレンドとなっていて、「4バック」と「ダブルボランチ」がチームの骨組みを作るキーワードとされています。

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<バラック(Ballack)とフリンクス(Frings)>

 ドイツでは選手の背番号以外に、ポジションによって決まった番号の呼び方が1から11まで存在します。例えば4-4-2(中盤はひし形)の場合、キーパーは「1」、ゲームメーカーは「10」、2トップは「9」と「11」、ボランチは「6」で表されます。ドイツ語では「ボランチ」のことを、「Zentrales Mittelfeld(中盤の真ん中)」や「Defensives Mittelfeld(守備的中盤)」などという場合がありますが、6(ゼックス)のポジションという意味で「Sechser(ゼクサー)」と呼ばれることもあります。監督が「今日お前はゼクサーだ」と言えばボランチをプレーすることになり、「Zehner(ツェーナー)をマークしろ」と言われれば相手のゲームメーカー(2トップの後ろ)をマークすることになります。

 ドイツ代表はワールドカップでバラック(チェルシー)とフリンクス(ブレーメン)の2人を「Sechser」に配置し、「Doppel-Sechs(ドッペル・ゼックス)=ダブルボランチ」を形成しました。

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<ピルト(Pirlo)とガットゥーソ(Gattuso)>

 イタリア代表とACミランでコンビを組むピルロとガットゥーソのコンビは、ワールドカップとチャンピオンズリーグで結果を残しています。ガットゥーソの運動量と守備力、ピルロのゲーム展開力と意外性は理想的な「Doppel-Sechs」。

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<ヴィエラ(Vieira)とマケレレ(Makelele)>

 「Doppel-Sechs」は、1人のSechserの時よりも守備のときにコンパクトにまとまることができるので、走る距離を二人で分担でき、チームの安定感も増すと言われています。フランス代表ではヴィエラ(インテル)とマケレレ(チェルシー)が「Doppel-Sechs」を形成していました。

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<マニシェ(Maniche)とコスティーニャ(Costinha)>

 「Doppel-Sechs」は守備に安定感をもたらしますが、攻撃力が衰えるというわけではありません。中盤の両サイドに非常に攻撃的な選手を配置して攻撃的なサッカーをするチームがたくさんあります。また、一人の「Sechser」が守備に重点を置いているので、基本的にはもう一人の「Sechser」が攻撃に参加します。ポルトガルの「Doppel-Sechs」は、マニシェ(ディナモ・モスクワ)とコスティーニャ(アトレティコ・マドリー)でした。

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<ゼ・ロベルトとファン・ボメル>

 ブンデスリーガでも、現在首位を走るバイエルン・ミュンヘンを始め11チームが「Doppel-Sechs」を採用しています。シュトゥッツガルト、ブレーメン、シャルケは「Doppel-Sechs」を採用せずブンデスリーガで結果を残していますが、チャンピオンズリーグでは今シーズン苦戦しています。
 
 ドイツ代表のスカウティングを担当しているSiegenthaler(ズィーゲンターラー)氏は、「安定した守備をしつつ攻撃の起点になるためにも、中盤の選手にはマルチな才能が求められている」と言っていました。「潰し屋」や「うまい選手」は同時に「戦略家」や「ファンタジスタ」としての一面も求められます。そして、お互いをカバーし力を出し合うためにも、2人のSechserには絶妙な相性が求められます。