7月某日、新国立美術館で開催されている「ベルリン-東京 東京-ベルリン」展に行ってきました。平日の午後だったこともあって、36℃の炎天下の中、外で待たされることもなくすんなり中へ。日本人も結構来てるんだろうなーなんて思っていましたが、それっぽい人は自分以外、ひとりも見かけませんでした。

とまあそれはどうでもいいんですが、19世紀末~現代のアートを各テーマごとに紹介した同展、出だしから「ダダ」やら「マヴォ」やらの略語を何の説明もなく使うので、やや困惑。素直に楽しめる作品もあるにはあったんですが、全体的にアヴァンギャルドすぎて、感想を聞かれてもなんとも説明しがたいものが多数。

もちろん、ちゃんと「アヴァンギャルド」をテーマとして扱ったコーナーもあったんですが、一般人の目からしたら何処から何処までがいわゆる「前衛芸術」で、何処から別の時代が始まるのかわからない。そんなわけで、ポカーンとしながら出口まで来てしまったので慌てて引き返しました。逆向きに見たら何か発見があるかもしれないしね、なんて考えるのは甘すぎます。結局私は行き場もないままアラーキーとイイジマ・カオリの数点の写真の間を行ったり来たり。

これから「ベルリン-東京 東京-ベルリン」に行こうと考えている方へ:ここの展示を観るのは、ペルガモン博物館に行くのとは全くワケが違います。現代美術ビギナーは詳しい人と一緒に行きましょう。

ちなみに同展はタイトルこそ「ベルリン-東京」ですが、作品のインパクト的にはベルリン:東京=3:7くらいだった気がします。これは私が(ベルリン在住の)日本人だから、日本人アーティストの写真や絵画がより目についたのかもしれないけれど、一つ例を挙げれば、壁の崩壊以降ベルリンで活躍している邦人アーティストの「日本人が見たベルリン」が、果たして今回どれくらいドイツ人客の心をつかんでいたのか疑問なところです。東京で同展示を観た日本人には斬新でも、見慣れた都市の風景をナショナルギャラリーの地下で見て、ベルリーナーは退屈しなかったのか?これは私も仕事柄、考えさせられるテーマとなりました。海外活動を行う日本人アーティストに、現地の人たちは何を求めるのか、さらに突き詰めていく必要がありそうです。

さきほどのアヴァンギャルドに話を戻しつつ・・・・・・私としてはこの展示、上の矛盾を利用してぜひぜひ伝統的な日本を愛する人、もしくはアニメ&マンガの洗礼を受けて親日家になった人たちに観てもらいたいです!いわゆる「親日家」には伝統的な日本の美や文化を愛していたり、逆に現代日本のサブカルチャーに興味を持った人の比率がかなり高いと思うんですが、19世紀末~21世紀はじめの日本の芸術に惹かれて日本ファンになった人っていうのはそれほどいないのでは?日本古来の美的感覚好きにこのアヴァンギャルドさはかなり堪えるはず。この日は来ていたお客さんも数人、作品の前で唸ってましたが、たとえ「こんなの僕の想像していた日本じゃなーいっっっ!」と失望したとしても、日本の芸術は、水墨画+アニメだけじゃないんだってことを知ってもらうのも悪くないかも。あなたの周囲に該当する人がいたら、ぜひ連れて行ってあげてください。ショック療法も、たまには効きます。



「ベルリン-東京 東京-ベルリン」展
2006年6月7日~10月3日
ポツダマー・プラッツ、新国立美術館にて。

トーマス&パートナーズ YUKOより:

今回の文化ニュースはいかがでしたか?皆様のご意見・ご感想お待ちしております。
サッシャさんのご協力により実現しました、トーマス&パートナーズの文化ニュース、今後はベルリンのアーティスト、デザイナーとのインタビューなども行う予定です。ドイツファンの方のみならず、海外アーティストの活躍に目をつけている日本の企業の方々にも、きっと耳寄りな情報があるはず!どうぞお楽しみに!

トーマス&パートナーズとは?
ベルリンの若手法律家、ラファエル・トーマスにより創立されたベルリンを活動拠点とするコンサルティング会社。NHKからの委託で番組制作、通訳などを行うほか、最近では黄金の20年代音楽で知られるドイツの国民的人気歌手、マックス・ラーべの日本初公演をオーガナイズした。日独アーティストや企業の海外活動のマネージメントから、2006年W杯関連の仕事まで幅広く請け負う。

URL: http://www.thomas-japan-consult.com/

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